本が出来るまで2 出版甲子園決勝大会

さて、では昨年の出版甲子園の話をしましょう。下でころちゃんが書いているとおり、本には企画書があります。類書を研究して、自分の企画はこういう点が新しいとか、こうだから売れるとか、ターゲットは誰とか、そういうことを説得力をもって説明するのです。
私の場合は、塾講師時代に自作したテキストが元になっています。「国語の参考書ってほとんど売られてないし、あっても量が多かったり問題ばっかりだったりする。一方生徒さんをみると、勉強はつまらないとか、なぜやるか分からないと思っているようだ。だから、テクニックは最小限に、そのぶん国語って何?とか、なぜやるの?っていう動機付けの部分に着目した、中学生向けの参考書を作ろう。面白そうだって興味を持ってもらうことが、すべての出発点なのだ」…そんなような意図の企画書を書いて出版甲子園に応募しました。
塾で作ったテキストは、某有名マンガ家さんのイラストをのっけて好評だったので、企画もそれを強く意識しました。企画段階の題名は、『これでいいのだ! スタートラインの国語』でした。とにかく量が少ないことを売りにしていたので、副題は『日本一ペラペラな参考書』。
幸い予選を突破し、2005年10月23日@新宿NSビルの決勝大会にすすみました。今年はどうするのか知りませんが、昨年は100強の企画から選ばれた18企画が決勝大会に出場。6企画ずつ、3ブロックに分かれます。審査員をつとめるプロの編集者さんたちを前に、自分の企画を3分間でプレゼン。各ブロックでいちばん得点が高かった3企画が「決勝大会の決勝」にすすみ、もういちど競い合ってグランプリを決める…という進行でした。

私は、Cブロックの最後、つまり一番最後に登場しました。前日のリハーサルで、当時の担当者に「テンションが低すぎる」と言われていたので、つとめて明るく喋るよう心がけました。(プレゼンのパワポの一部↓)

で、結果はというと、Cブロック2位。つまり「決勝大会の決勝」にすすめなかったのですね。(ちなみにCブロックの1位は鈴木さやかさんで、見事『美人電車』という本を出されています)。
私にしてはけっこう真面目にがんばっていたので、しょぼんとしながら控え室に戻っていると、誘導係の新田さん(通称にったん。現・出版甲子園総務局局長)が駆けてきて「はせがわサン、来てください」と言う。「なんのこっちゃ」と思いながらついていくと、何の説明もなくどーんと舞台に上がらされる。私きょろきょろ。会場ざわざわ。審査員の方々もざわざわ相談をしており、やがて審査員長より説明が。「ブロックでトップではないが、全体のなかでは特に点数の高い2点を残したいと思います!」というわけで、私の企画を含め2企画が繰り上げ当選。急遽5企画で決勝ということになったのでした。「今の気持ちは」と聞かれ、「九死に一生を得ました」と言ったら、なぜかやたらとウケました。
そこから先は、よく覚えていません。嬉しいハプニングがあって動転しており、ただただ笑いをとろうと、早口でベラベラ喋り続けました。で、終わってみれば奇跡の逆転グランプリ。終了後は、編集者さんや記者さんに取り囲まれましたし、なんと12社の編集者さんから、「うちでださないか」とオファーしていただきました。(たとえばhttp://www.web-across.com/todays/d6eo3n000001djcc.htmlのページでも詳しく紹介していただきました。写真つきですョ。)
そんなこんな、全てが手探りだった学生による初の試み「出版甲子園」は、大成功のうちに幕を閉じたのでした、が、しかし…。
優勝記念に手作りのトロフィーをいただいたのですが、ここだけの話、1時間も経たないうちに羽の部分が折れました。修理していただき後日受け渡し…というお話だったのですが、その後音沙汰ありません。風の噂では、さらに粉々に壊れたとか…。なるほど、これは今思えば、イベント後の苦難や紆余曲折を暗示していたのであります。でもそれはまた別の話。
長くなりました。とうとう明日辺りから、この本も本屋さんに並び始めるようです。明日には、ころちゃんが本屋さんの様子をリポートしてくれるでしょう。写真つき、もしかしたら購入してくださった方のインタビューも?!それでは、現場のころちゃんお願いしまーす!