本が出来るまで4 執筆開始

2006年2月10日、ダイヤモンド社において打ち合わせが行われ、ようやく本格的に動き出しました。
版元をダイヤモンド社さんにお願いすることにしたのは、いちばん元の企画に近い形で実現できそうだったからです。他の版元さんの多くは、その出版社さんの特徴上、「大人向けの学びなおしの本」にならないか、と要望されました。でも、今回の企画の場合、私が塾講師をしていた実体験が大きな核となります。だから、中学生向けにこだわったほうがいいのではないかと思いました。
結果的に、中学生レベルにおさまらなかったため、一般書としても売り出していただくことになりましたが、やはり参考書ベースでよかったと思っています。私の身の丈に合った内容になりましたし、あまりマニアックになりすぎず、ほどほどにストライクゾーンが広くなりました。こうした展開が出来たという意味でも、ダイヤモンド社さんにお願いできて幸運だったと思っています。
話はずれますが、一部では、「大人向けにしてはちょっと…」という方もいらっしゃるように聞きます。たしかに、出来る方にとっては冗長と思われる部分があるかもしれません。でも、たとえば「聖徳太子はいなかった」とか「係り結びは強調ではない」とか「そもそも国語というネーミングはおかしい」だとか、十分にセンセーショナルな内容が含まれていると思います。それに、読解などの説明も、言われてみれば当たり前かもしれませんが、ここまで明示的に意識して普段読んでいるでしょうか。たとえば詩やキャッチコピーを、深く味わおうとすることがふだんあるでしょうか。私自身、執筆して初めて気づいた部分もたくさんあります。この本が、多くの人にとって、ことばや文章に対する「意識改革」のきっかけになるのではないかと信じています。
閑話休題。執筆開始の話です。
また2月には、当時多忙を極めていた担当者(甲子園スタッフ)が任を外れ、担当者がころちゃんにスイッチしました。前任者はいちばんしんどい時期ばかりを担当していたわけで、今さらながらありがたいかぎりです。そしてころちゃんには、以降いろいろとお世話になります。どうもです。
こうして状況が整い始め、方向性が模索されます。塾講師時代のテキストは、私が授業で使うことが前提だったため、記述がことば足らずだったり難しすぎたりしますし、問題とリンクしていません。編集者さんからは、「読んで完結するように」、「分かりやすく、面白くして、読んでもらえるような工夫を」、「問題を解くところまでつなげて」という指示を頂きました。
アドバイスを元に私がサンプル原稿を作って、それを見てもらって方向性を確認する…という打ち合わせを重ね、今の本につながる青写真ができます。やはり論説小説詩歌古文作文の各分野を網羅することを売りにしよう。問題を解くテクニックの部分だけでなく、そこに至る導入や、そこから発展した実際的な内容を重視しよう。内容がきちんとしそうなので、マンガのキャラクター(バカ●ンのぱぱ)にたよらなくてもいいだろう。などなど。
そうして長くしんどく、そして楽しい執筆活動に本格的に突入するわけですが…それはまた別の話。